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アルコールと心疾患リスクについて~酒は百薬の長って本当?~

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「酒は百薬の長」とは「適量の飲酒は体に良い」という意味で使われた経験則のような諺です。

これは実は条件付きで本当であることが、大規模な調査で実証されています。

アルコールと心疾患リスクを血糖値で2群に分けて比較

この研究では、平均1日あたり飲酒量と心疾患の罹患率の関係を、対象を2群に分けて調査しています。

対象A:45歳超えで、空腹時血糖が100mg/dlを超える方
対象B:45歳未満で、空腹時血糖が100mg/dl未満の方

この対象者の1日平均飲酒量を調査し、それぞれの心疾患罹患率をプロットして曲線にしたものです。

アルコールと心疾患リスク

予備知識になりますが、お酒1杯という定義のグローバルスタンダードは14gです。

日本では健康日本21にもあるように、1杯の定義は20gです。

今回の研究は、グローバルスタンダードの14gを1杯として調査しています。

アルコールの量でいうと、アルコールの比重は水より軽いく、比重0.8なので、14gは100%アルコールで17.5mlになります。

これをアルコール度数で換算していくと、以下のようになります。

ビール    :5%  350ml・・・・・・缶ビール1本
日本酒・ワイン:14% 125ml・・・・・・0.7合
焼酎     :25%  70ml
ウイスキー  :43%  40ml

これらを踏まえて調査結果を見ると、A群:45歳未満で空腹時血糖100mg/dlを超える方は、アルコール1杯では、心疾患罹患リスクが下がり、2杯目から全く飲まない方と同程度の罹患リスクになり、3杯以上飲むと飲んだ分だけ心疾患罹患リスクが上がっていきます。

一方で、45歳未満で空腹時血糖が100mg/dl未満の方は0杯~1杯では、ほぼ心疾患リスクはなく、2杯以上からリスクが上昇し、3杯以上飲むと、A群と同じ心疾患リスクになります。

この結果は、アルコールの代謝経路で産生される有害物質と有益無害物質とが関係ありそうです。

アルコールの代謝経路

アルコールは小腸で吸収され、肝臓で分解されます。

その際に、アルコールは分解され、アセトアルデヒドという物質を産生します。

このアセトアルデヒドは人体へ負の影響を及ぼします。

さらに人間の体で分解されると、それが無害な物質となってアセテートと、最終的にはエネルギー燃焼して、水・二酸化炭素に分解され体の外に排出されます。

アルコール代謝経路

アセテートは細胞膜を通過し、人間の体の中で筋肉や細胞組織などでエネルギー源となって活用されます。

つまり、少量の飲酒であれば、アルコールが肝臓で分解されアセトアルデヒドになり、アセテートとしてエネルギー消費される。

しかし、大量に飲酒をすると、アセテートとしてエネルギー消費される前のアセトアルデヒドが体に溜まって、有害作用を及ぼすのでしょう。

アルコール、アセトアルデヒド、アセテートへの人体の影響

アルコール、アセトアルデヒドは細胞に炎症を惹起し、有害作用を及ぼします。

アセテートは、細胞膜を通過し、エネルギーとして消費されます。

アセテートはインスリンに依存せず、細胞膜を通過するので、インスリン抵抗性を改善し、AGEsによる有害作用を減らします。

アセテートはグルコースよりも、優先的に使われるので、適度なアルコール量は、人間のエネルギー源になります。

要するに、空腹時血糖が100mg/dlを超えている方は、インスリン抵抗性によって、グルコースが分解されない状態で残っている。

エネルギー消費されずに余ったグルコースはAGEs(終末糖化産物)に変換され体内を巡り、血管壁に炎症を起こしてアテロームを作ったり、色々な有害作用を及ぼします。

一方で、アセテートはインスリン抵抗性でも関係なく、細胞膜を通過し、エネルギー消費される。

インスリンに依存しないでエネルギー消費されることで、血糖の上昇を抑えて、インスリン抵抗性を改善する、ということです。

糖尿病の診断基準

空腹時血糖
正常:  100mg/dl
正常高値:100~109mg/dl
境界型: 110~125mg/dl
糖尿型: 126mg/dl以上

空腹時血糖が90mg/dl以下は理想的、100~109mg/dlは許容範囲。

110~125mg/dlが境界型糖尿病

126mg/dl以上が糖尿病というのが診断基準の一つになっています。

インスリン抵抗性により心疾患が増えるのはなぜ?

血中のグルコースが分解されずに高い状態が続くと、インスリンが出ても細胞の中にグルコースが入っていかない。

つまり、インスリンが効かなくなってきます。

そうすると、グルコースが分解されずに、AGEs(終末糖化産物)という物質に変化します。

AGEsは血管壁や細胞などの組織を損傷して、炎症を惹起し、血管や組織が劣化し、老化します。

血管壁に炎症が起きると、アテローム血栓ができます。

アテロームは心筋梗塞、脳梗塞、認知症のリスクを高めます。

お酢とお酒の意外な関係

アセテートは、お酢の分解産物でもあり、しかも、途中にアセトアルデヒドを産生せずにアセテートに分解されます。

お酒ではなくて、お酢を飲むのは、有益な部分だけが残り、効果的と言えます。

「黒酢の健康法」というのがありますが、お酢が分解されても有害物質を産生せずに、体に有益なアセテートに分解されるので老化を防いでくれると考えられます。

人間のカラダは、古来よりグルコース以外をエネルギー源として生きてきた歴史があります。

しかし、現代は、お米、パン、麺、お菓子、すべて糖質です。

グルコース以外の栄養素から如何にエネルギーを摂取するか、というのがカラダにとって有益だともいえます。

酒は百薬の長?

「酒は百薬の長」というのは条件付きですが真実でした。

条件付きとは、「インスリン抵抗性の方」には「1日1杯まで」であれば心疾患リスクを下げる、ということです。

理由は代謝産物のアセテートがインスリンの作用に関係なくエネルギー源になるからです。

インスリン抵抗性のない方にとってアルコールは有益性はないものの、1杯までであれば心疾患リスクはほとんどありません。

2杯以上飲むと、インスリン抵抗性の有無にかかわらず、心疾患リスクは増大します。

脳梗塞や認知症のリスクも同様と考えられます。

酢は酒と違って代謝途中で有害物質を産生せずに、アセテートに分解されエネルギー源に代わるので、毎日黒酢を飲むと年を取らないというのは本当のようです。

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日本有数の「メディカル」=「医療」のプロであるメディカルトレーナーが一人ひとりの身体を分析し、医療従事者がパーソナルトレーナーとしてあなたに合わせたオリジナルメニューを提供している西東京に所在するフィットネスジムのサイト管理担当者です。

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